『あの宝箱』クエスト

photo

さあ、冒険の旅に出よう

 

 

photo
©alpocotter

朽木 誠一郎(くちき せいいちろう)

 

医学生をしながらインターネットにコラムをかいています。いまのところ、小学館Menjoy!IRORIOJunkStageに所属。

 

「海なし県のくせに海の日を休むなってよく言われる」と言ったら、「なかなか海に行けないひとが海に行くために海の日がある」と返されました。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加

世界には『あの宝箱』が足りない

 

それなりに充実した毎日を送っているつもりだけれど、ときどきなにかが足りないような気がする。

 

べつに特別な瞬間とはかぎらない。ふとしたとき、そこにあるべきものがないように思うのだ。

 

photo

道路脇、河川敷へとつづく階段の横にある、なんらかの建造物

 

おそらく水量を調節する役割をもつこの設備には、一見どこにも非の打ち所がない。でも、僕は足りないものがあると確信する。

 

そう、この風景には『あの宝箱』が必要だ。

 

photo

つまりこういうこと

 

進路を急ぐなら立ち寄る必要はないが、時間の余裕があればその中身をたしかめるのも一興である。

 

photo

ちなみに僕はゲームの宝箱をひとつでも取りこぼすのがぜったいに許せないタイプなので

photo

シナリオの都合で一度しかいけない場所の宝箱を見落としたら何時間かかろうが迷わずリセットします


photo

そういうときにかぎって中身は『やくそう』だったりしますよね

 

おわかりだろうか。『あの宝箱』とは、1986年の発売以来、シリーズ合計約6000万本を売り上げる某国民的ファンタジーアドベンチャーゲームの宝箱だ。

 

もしまだピンと来ない場合は、ドラゴンをアレするクエストのゲームです。

 

『あの宝箱』は希望だ。ショップのない迷宮で、あるいは、ボスを倒したあとに、宝箱が手に入れば、助かるし、嬉しい。

 

現実世界にもそんな希望がほしい。そう思って、僕は『あの宝箱』のありそうな風景を探すことにした。

 

photo

茂みのむこうに目を凝らせば

 

photo

そこにある

 

photo

密林の滝と池には

 

photo

とうぜん『あの宝箱』

 

photo

デッドスペースと化した吹き抜けにも

 

photo

やっぱり『あの宝箱』

 

photo

鉄格子の向こうには定番の宝箱

photo

あたまがわるいと(回り込まないと)取れない


photo

あやしい地下室といえば宝箱

photo

同行の後輩くんは大きな試験の3日前でした。かわいそう。


photo

たいへん無邪気に楽しんでいる僕は『あのゲーム』と同い年です

 

じつはこれ、すべて僕の大学キャンパスで撮影した。つまり、どんなに見慣れた風景にも、ファンタジックな宝箱を置いて違和感のない場所があるとわかる。

 

『あの宝箱』クエストは、なんてことない日常生活を、ちょっとした想像力で胸躍る冒険に塗り替える、いわばライフハックなのだ。

 

でもゆくゆくは想像力とか必要ないカメラアプリのフィルター機能になってもいいと思うし開発者のみなさん連絡待ってます。

 

なお、今回使用させていただいた『あの宝箱』は、株式会社人間さんの商品である。ネットで見かけて即ポチった。いい仕事!いい仕事してますねー!!

 

photo

届いたときは“思ってたんと違う!”などと思ったが

photo

まあ、ようするに組み立て式のダンボールだったわけですよ


photo

しかしその作業は意外と楽しかったり

photo

全サイズ買いました


photo

本棚に宝箱があってもいいじゃない(これはサイズS)

 

他にも“ス”の形をしたイス『スイス』や、鼻毛通知代理サービス『チョロリ』など、楽しげなものがたくさんあったので、興味のあるかたはぜひ。

 

さて、これからいよいよ冒険の旅に出ます。

 

 

 

トップに もどりますか

 

いいえ

はい

 

 

 

『あの宝箱』で遊ぼう

 

たとえば、通い慣れた近所の公園でも『あの宝箱』を持ち込むとそこは未踏の大地、夢と冒険の世界に変わる。

 

photo

スライム(子ども)ばかりの草原から

photo

強敵が潜むダンジョンへ


photo

ながいどうくつを抜けるとそこには『あの宝箱』があった

 

photo

少しずつ宝箱に近づいていく感覚、これはまさに某なんとかクエストである

photo

それにしても、水辺と宝箱の相性の良さよ


photo

うしろからザバーンと水棲のモンスターが出現しそうではないか!

 

すでにお気づきかと思うが、僕はこの冒険中にあやしいマスクを装備していた。なぜか。いちおう就活の時期だからというのはあるが、それだけではない。

 

そういう趣味、も不正解。じつは、例のゲームにはたまに意味深なアイテムが登場するのだ。『あやしいマスク』とか『あぶない水着』とか。ホントですよ。

 

photo

このように顔の上半分のみを覆うマスクをドミノマスクと呼びます

 

せっかくだし世界観を取り入れようとしたのだが、なんだか妙に似合ってしまい、かえってファンタジーからは離れたような気がする。

 

なにより、こんな主人公はイヤだ。

 

photo

後輩くんは「うわあぁ!変態仮面だー!!」とか言っていたけど、変態仮面が被っているのはパンティーだからな

 

さて、このあたりで僕はゲームの大きな謎に気がついた。それは“そこに宝箱がある”ならば、“そこに宝箱を置いたひとがいる”ということだ。

 

当たり前のようだが、考えてみてほしい。自分が手に入れたそれなりに価値のあるものを、どこの馬の骨ともわからない誰かにくれてやるのは、どうしてだ。

 

そもそも、誰かがちゃんと見つけてくれる保証すらないのに。

 

photo

ダンボールだからなるべく雨が降る前に見つけていただきたい

 

僕なら、ドラゴンを倒すのにこのアイテムがどれほど役に立つかをくどくど説明したあとで、精一杯恩着せがましく、ほんとうに世界を救えそうな勇者を厳選して手渡しするだろう。

 

いや、置くのにそう苦労しない場所ならいい。公園で遊ぶ子どもらが目を輝かせて『あの宝箱』に走り寄って来るのには苦労したが、もういい。問題は、そもそも置きに行くのが困難な場所にある宝箱だ。

 

ああいうの、いったい誰がなんのために置いてるんですか。

 

 

 

トップに もどりますか

 

いいえ

はい

 

 

 

『あの宝箱』の謎

 

取りにくい場所にある宝箱ほど、取りにくさに比例してその中身が重要なものだと期待できるが、それはあくまで取る側の論理である。

 

たとえば、地上30mの屋上に宝箱を置くとき、置く側はどうやってそのモチベーションを維持すればいいのか。

 

photo

正気の沙汰とは思えない

 

いや、ちょっと待てよ、べつに置かなくてもいいのだ。

 

しかし、このころにはもう、地上30mのビルの屋上を見たら、そこに『あの宝箱』を置かなければならないような気持ちになっていた。

 

photo

僕「あの階段のいちばんうえにさ、宝箱が見える気がするんだ」

後輩くん「それってもう、なにかの病気ですよ」

 

photo

あっちに宝箱……こっちにも宝箱……ウフフフフ……

photo

落ち着いて考えてみると、軽い熱中症だったかもしれない


photo

宝はあるんだ

ここにあるんだ


 

階段をのぼりながら考えてみたが、やはりこれ、嫌がらせなのではないか。こんなに貴重なものをあげるからには、せいぜい苦労したまえ、というような。

 

なんて性格が悪いのか。おまけに今回は、宝箱を置くのも取るのも自分なのだ。誰も得をしない、どうしたことだこれは。

 
photo

キレイな景色こそ宝物だったのかもしれませんが

 

しかし、厳しい試練を耐え抜いた勇者だけに、宝箱を取る資格があるという理屈もわからなくはない。

 

まあ、現実世界の僕は勇者どころかまず定職に就いていないけど、思いついたからにはさらなるハードモードに挑戦します。

 

photo

トトロの森みたいですね、と後輩くん

 

僕は片田舎に住んでいるので、車を15分も走らせればこんなノスタルジックな山に行き着く。すでに日常がアドベンチャーである。

 

photo

“やまおくのしんでん”入り口

photo

モンスター(熊とか)とのエンカウントに怯える


photo

ビーサンは装備品として失敗

photo

そして山頂へ


 

この山、地元では古墳があることで有名な山だった。歴史の深いほんものの遺跡で見つけた『あの宝箱』のある風景はこちら。

 

photo

間違いない山道と宝箱のコラボ

 

photo

山頂の神殿には伝説の武器と埴輪が眠る

 

宝箱を抱えて山頂まで登るのはちょっとした苦行だった。世界を未来の勇者に託す賢者になったような、不思議な達成感がある。

 

宝箱というものには、置くべき場所があるのだ。大事なものであればあるほど、それにふさわしい場所に置かれるべきなのだ。

 

photo

……きこえますか…きこえますか…勇者よ…いま…あなたの…心に…直接…呼びかけています……もし…ふたたび…世界の平和が…乱れる…ときは…この…伝説の武器を…使うのです……そして…夏に外遊びを…する…ときは…水分を…水分を…取るのです……

 

『あの宝箱』を置くひとは、こんな心境だったのか。disってゴメンなさい。

 

photo

帰りにブヨの大群にエンカウントしたが、後輩くんは「虫ィィィ!」って叫びながら僕を見捨てた

 

いまなら仲間が“にげる”のコマンドを選択したときの主人公の気持ちがわかる。

 

 

 

 

トップに もどりますか

 

いいえ

はい

 

 

 

『あのゲーム』らしく最後はボスと戦う

 

『あの宝箱』をめぐる謎をひとつ解き明かしたところで、そろそろボスでも倒しにいこうかと思う。正確には、ボスっぽいものと戦うフリをする、だが。

 

じつは、『あの宝箱』を手に入れてからというもの、どうしてもこれを持ち込んでみたい場所があったのだ。

 

photo

芸術館にやってきた ※撮影はOK

 

かねてから主張していることだが、僕にはこのような現代芸術作品が、どうしてもそういうゲームのボスキャラにしか見えない。

 

わかっている、そんなの芸術への冒涜だ。でもやっぱりこれ、どこからどう見てもボスなんじゃないか。

 

真ん中の鳥の顔ちょう怖いし

 

そんなボス戦の直前にはたいてい『あの宝箱』がある。まるで、立ち寄って行きなさいと言わんばかりだ。

 

補給を兼ねた宝箱の中身は、貴重なアイテムであることも多い。宝箱を置くひと、やはりけっして意地悪なだけではなかった。

 

photo

でも、貴重なアイテムであるほど、大事にしすぎて結局いつまでも使わないジレンマがある

 

この作品の芸術的価値うんぬんよりも、3匹のモンスターうちのどれが回復役かが気になるから、僕はもうゲーム脳ってことでいいです。

 

photo

これは推定樹齢500年のありがたい切り株だそう

 

ラスボスまでは連戦がデフォルトである。終盤にかけては怒濤の展開で次なるステージに突入しよう。

 

photo

「あー、ボス見えるわー。かんぜんにボス見えてるわー。怖くないわー、ぜんぜん怖くなんかないわー。」のシチュエーション

 

photo

彫刻とは知りつつも、手に汗を握る緊張感

 

photo

周囲の壁が回転して攻撃を跳ね返すという設定

 

個人的にはこのボスキャラ(彫刻)のビジュアルがいちばんのお気に入りです。あきらかに強そう。

 

そして、フルボリュームでお送りした『あの宝箱』クエストも、ついにクライマックスに。

 

photo

ラストバトルと言えば空中戦

 

photo

「おれにまかせろ!」

 

言うまでもありませんが、この遊びはとても楽しかったです。

 

 

 

トップに もどりますか

 

いいえ

はい

 

 

 

さいきんワクワクしてる?

 

ゲームであればここからはエンディングである。そこで質問だ。さいきん、みなさんはなにかに胸を踊らせた記憶がありますか?

 

この冒険で見つけた宝箱はのべ50個。ここまでたどり着いていれば、自分だけの『あの宝箱』を見つけることができるはずである。

 

もしもあなたが毎日を物足りなく感じたら、あなたの心に『あの宝箱』のフィルターをかけて、この世界を覗いてみるのはどうか。

 

思いがけない場所に『あの宝箱』を見つけたとき、きっと少しだけ世界が新鮮に見えますよ。

 

photo

ミスマッチだけど新鮮

 

 

 

トップに もどりますか

 

はい